SDGsはなぜできた?SDGsの背景とMDGsとの違いをわかりやすく解説
こんにちは!衣食環境ブログのマイカです。
この記事では、SDGsの背景とMDGsとの違いについてお話していきます!
この記事は、
- SDGsの背景が知りたい
- MDGsとどこが違うのか詳しく知りたい
といった方におすすめの記事です。
ぜひ最後までご覧ください!
SDGsとは?
SDGs(エス・ディー・ジー・ズ)とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
持続可能な開発とは、国際連合広報局によると「将来の世代がそのニーズを充足する能力を損なわずに、現世代のニーズを充足する開発」と定義されています。
また、2030年までに持続可能なよりよい世界を目指すため、世界全体の経済・社会・環境の三側面における課題を総合的に解決すべき国際目標として掲げられています。
そしてSDGsは、17の目標と169のターゲット、232の指標から構成され「地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
SDGsは発展途上国だけでなく、先進国も積極的に取り組まなければなりません。
まとめると、SDGsは「地球環境に負荷の少ない生活スタイルを確立し、多様性や生態系を守っていこう」ということです。すごいざっくりまとめてしまいましたが。
なんとなくそんな感じのことなんだな、と理解していただけたら十分です!
SDGsの背景
SDGsは2015年にいきなりできたわけではなく、その前身にあたるMDGs(ミレニアム開発目標)から引き継がれた目標です。
2000年にスタートしたミレニアム開発目標(MDGs)の後任目標がSDGsになります。
MDGsは、主に開発途上国を中心とした「極度の貧困と飢餓への対策、病気予防、教育普及」に関しての目標が8つ定められていました。
【MDGsの8つの目標】
- 目標1 極度の貧困と飢餓の撲滅
- 目標2 初等教育の完全普及の達成
- 目標3 ジェンダー平等推進と女性の地位向上
- 目標4 乳幼児死亡率の削減
- 目標5 妊産婦の健康の改善
- 目標6 HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
- 目標7 環境の持続可能性確保
- 目標8 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
MDGsは達成期限を2015年までとし、一定の成果を上げた(MDG Report 2014)のちに後継となる目標としてSDGsが掲げられました。
SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて新たな国際目標として記載されました。
MDGsで達成されなかった目標や、新たな課題として明らかになった問題を解決するための目標としてSDGsは制定されました。
またMDGsでは開発途上国のみが対象でしたが、SDGsでは先進国も取り組むように、世界全体で取り組むべき目標になりました。
まとめると、「SDGsの前身として2000年からMDGsが存在し、その後継目標としてSDGsが制定された」ということです。
SDGsとMDGsの違い
SDGsはMDGsを引き継いだ開発目標であることは、先ほどお話しました。
ここでは、もう少し踏みこんだお話をしていきます。
- SDGsとMDGsの違い
- MDGsで達成できた目標
- MDGsで残された課題
- SDGsとMDGsの目標の比較
の4つに分けてお話します。
1.SDGsとMDGsの違い
SDGsとMDGsは、「取組主体」と「目的」、「目標の数」で違いがあります。
【取組主体】
- MDGsは、国連や政府
- SDGsは、国や自治体だけではなく民間企業や一人ひとり
【目的】
- MDGsは、主に発展途上国の課題解決
- SDGsは、発展途上国だけでなく先進国の課題も解決する
【目標の数】
- MDGsは、8つの目標・21のターゲット・60の指標
- SDGsは、17の目標・169のターゲット・232の指標
以上が、ざっくりとしたMDGsとSDGsの違いです。
続いて、MDGsの達成状況についてお話していきます。
2.MDGsで達成できた目標
MDGsでは、8つの目標・21のターゲット・60の指標が設定されていました。
8つの目標は先ほどもお話しましたが、もう一度おさらいします。
- 目標1 極度の貧困と飢餓の撲滅
- 目標2 初等教育の完全普及の達成
- 目標3 ジェンダー平等推進と女性の地位向上
- 目標4 乳幼児死亡率の削減
- 目標5 妊産婦の健康の改善
- 目標6 HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
- 目標7 環境の持続可能性確保
- 目標8 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
MDGsでは主に、開発途上国の貧困問題についての目標が掲げられていました。
MDGsの達成状況は「MDGs報告書2015」に詳しく書かれていますが、その中から抜粋したものを紹介します。
目標1 極度の貧困と飢餓の撲滅 ⇒ 「貧困率が半分以下に減少」
- 「発途上国における極度の貧困(一日1.25ドル以下で生活している人)比率」が、47%(1990年)→14%(2015年)に減少
- 10億人以上の人々が貧困から脱却できた
目標2 初等教育の完全普及の達成 ⇒ 「2000年から小学校の児童の就学率が著しく向上」
- 「開発地域における小学校の純就学率(教育段階において、想定される年齢グループに属する生徒の合計を、そのグループに属する人口の合計で割ったもの)」が、83%(2000年)→91%(2015年)に増加
目標3 ジェンダー平等推進と女性の地位向上 ⇒ 「開発途上地域は初等、中等、および高等教育で男女格差を解消した」
- 過去20年において、174カ国のほぼ90%の女性が政治に参加する基盤を得た
目標4 乳幼児死亡率の削減 ⇒ 「予防可能な疾病による幼児死亡数の著しい低下は、人類史上で最も偉大な成果」
- 「世界における5歳未満の幼児死亡率」が、1990年~2015年の間に生まれた1,000人あたり90人→43人に減少(半数以下に減少した)
目標5 妊産婦の健康の改善 ⇒ 「妊産婦の健康状態に一定の改善が見られた」
- 「世界の妊産婦死亡率」が、45%(1990年代以降)減少
目標6 HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止 ⇒ 「HIV感染者が世界の多くの地域で減少」、「マラリアと結核のまん延が止まり、減少」
- 「HIV感染者数」が、約350万人→210万人に減少
- 「HIVへの新たな感染」は、2000年~2013年の間で約40%低下
- 「結核の予防・診断・治療」によって、2000年~2013年の間に約3,700万人の命が救われた
- 「マラリアによる死」を、2000年~2015年の間に620万人以上の人々が免れた
目標7 環境の持続可能性確保 ⇒ 「安全な飲み水とオゾン層保護に関する目標を達成」
- 「改良された飲料水源(清潔な水)の使用率」が、世界人口の76%(1990年)→91%(2015年)に増加
- 「オゾン層破壊物質」を、1990年代以来98%除去・消滅
目標8 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進 ⇒ 「ODA、携帯電話加入者数、インターネットの普及における世界的な進歩」
- 「ODA(政府開発援助)」が、2000年~2014年の間に実質66%増加し、1,352億ドルに到達
- 「インターネットの普及率」が、世界人口の6%(2000年)→43%(2015年)に増加
以上が、MDGsの主な達成状況です。
達成されたことも多くありますが、一方で残された課題もあります。
3.MDGsで残された課題
残された課題は、5つあります。
- 男女間の不平等
- 最貧困層と最富裕層、都市部と農村部の格差
- 貧困と飢餓
- 紛争
- 気候変動と環境悪化
一つずつ説明していきます!
1.「男女間の不平等」が続く
- 女性は未だに、「就業機会・資産・公私の意思決定」において差別に直面している
- 女性は、男性より貧困状態に置かれている傾向がある
2.「最貧困層と最富裕層、都市部と農村部の格差」の存在
- 「最貧困層家庭の5歳未満の幼児死亡率」が、最富裕層家庭の子どもに比べ2倍高い
- 「最貧困層家庭の子ども」は、最富裕層家庭の子どもに比べ4倍の確率で学校に通えていない
3.数百万人の貧しい人達は、未だに基本的サービスへのアクセスが無く「貧困と飢餓」の中で暮らしている
- 約8億人が、貧困の中で生活し飢餓に苦しんでいる
- 「世界の労働者の約半数」が、望まれない環境の中で働いている
- 「1日約16,000人の子どもたち」が、5歳の誕生日を迎える前に命を落としている
4.「紛争」は人間開発の最大の脅威である
- 「紛争のために家を去らなければならなかった人の数」が、約6000万人(2014年末)に上った
- 「紛争により1日、平均して42,000人」が、強制的な移動を強いられており保護を求めている
5.「気候変動と環境悪化」が達成すべき目標を阻んでいる
- 「世界の二酸化炭素排出量」は、1990年以降50%以上増加している
- 水不足は、世界人口の40%に影響を及ぼしている
以上が、MDGsで達成されなかった目標です。
これを踏まえて、SDGsの目標が制定されました。
4.SDGsとMDGsの目標の比較
左にMDGsの目標を、右にSDGsの目標を書いています。
【MDGsの目標】 | 【SDGsの目標】 |
目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅 | 目標1:貧困をなくそう 目標2:飢餓をゼロに |
目標4:乳幼児死亡率の削減 目標5:妊産婦の健康の改善 目標6:HIV/エイズ、マラリア及びその他の疾病の蔓延防止 | 目標3:すべての人に健康と福祉を |
目標2:普遍的初等教育の達成 | 目標4:質の高い教育をみんなに |
目標3:ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上 | 目標5:ジェンダーの平等を実現しよう |
目標7:環境の持続可能性の確保 | 目標6:安全な水とトイレを世界中に |
目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに | |
目標8:働きがいも経済成長も | |
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう | |
目標10:人や国の平等をなくそう | |
目標11:住み続けられるまちづくりを | |
目標12:つくる責任つかう責任 | |
目標13:気候変動に具体的な対策を | |
目標14:海の豊かさを守ろう | |
目標15:陸の豊かさも守ろう | |
目標16:平和と公正をすべての人に | |
目標8:開発のためのグローバル・パートナーシップの推進 | 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう |
SDGsの「目標7~16」は、MDGsの時には目標になっておらず、追加されたことがわかりますね!
まとめ
SDGsとMDGsの違いをまとめました!いかがだったでしょうか?
SDGsはMDGsで達成されなかった目標をもとに、目標を制定されています。
また開発途上国だけでなく、先進国も取り組むようにと変わっている部分もあります。
この記事が、SDGsとMDGsの違いを理解する参考になっていたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
※他にもSDGsの「5つのP」や、「17の目標」も書いている記事があるので、興味のある方はぜひご覧ください!