海洋生物を苦しめるゴーストフィッシングとは?原因と対策について

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海洋生物を苦しめるゴーストフィッシングとは?原因と対策について

こんにちは!衣食環境ブログのマイカです。

この記事では、ゴーストフィッシングについてお話してきます。

みなさんは、「ゴーストフィッシング」や「幽霊漁業」といった言葉をご存じですか?

ゴーストフィッシングは、海洋プラスチックと同様に海の生物を苦しめている問題の一つです。

この記事は、

  • ゴーストフィッシングって何?
  • ゴーストフィッシングの原因と対策について知りたい

といった方におすすめの記事です。

ぜひ最後までご覧ください。

ゴーストフィッシング(幽霊漁業)とは

漁業

Wikipediaによると「ゴーストフィッシング」とは、

漁業者の管理下を離れた漁獲機能を残した漁具等が海中に残留して水産動物の死亡を引き起こし続ける現象

Wikipedia「ゴーストフィッシング

と書かれています。

つまり、まだ使用できる網や釣り針などの漁具が海中に放出され、それに海の生物たちがひっかかってしまう現象のことです。

漁具のほとんどは金属や耐久性のある素材で作られています。

そのため、自然に分解することはなく水中に残り続けて、人が回収しなければ海の生物に危害を加え続けます

ゴーストフィッシングの原因

網

ゴーストフィッシングの原因は、漁具が放棄されることです。

故意的でなくとも、天候や整備ミス、技術的要因により漁具を放棄、損失する場合があります。

主に北半球の情報を用いて実施した調査によると、

  • 世界で使用されている漁網 5.7%
  •     〃     籠や壺などの仕掛け 8.6%
  •     〃     釣り糸 29%

が放棄されていると報告しています。(参照※1)

ゴーストフィッシングの現状

海洋ごみ

毎年、世界の海に放出している漁業に関するごみは約50万トン~100万トンと言われています。(※2)

また、違反や無許可など持続可能でない漁獲を行っているところでは、漁業の隠蔽を行うため、大量の漁具を海に投棄していることも報告されています。(※3)

実際に、北太平洋旋廻の「太平洋ごみベルト」では、浮遊するプラスチックの内、漁業等で流出した漁網・紐・ロープが46%を占めています。(※4)

ビニール袋やペットボトルといった海洋プラスチックごみも問題になっていますが、それと同じくらい漁業から投棄されているごみが多いのも現状です。

※海洋プラスチックについては以下の記事に書いているので、ぜひ参考にしてください。

海の生物への影響

ウミガメ

ゴーストフィッシングで一番被害を受けるのは、海の生物たちです。

世界では、ウミガメや海洋哺乳類、海鳥の約半数以上の種類が被害を受けていることが報告されています。(※5)

正確な被害規模は分かっていませんが、一度放出されると何十年にもわたり被害をもたらすと言われています。

しかも、サンゴや海底の地形を破壊するといったことも報告されており、海の生物だけでなく海の生態系までもが破壊されています。(※6)

ゴーストフィッシングへの対策

漁業

ゴーストフィッシングについて、世界ではGGGI(グローバル・ゴーストギア・イニシアチブ)が設立されたり、ゴーストフィッシングにどう対処するのかについてのガイドラインが発表されたりと、国際的に取り組まれています。

他にも、漁具が放棄された場合には、自然に分解できるように「生分解性プラスチック」を使用した漁具の導入も進んでいます。

また、日本では環境省が「第2次G20海洋プラスチックごみ対策報告書」を発表し、この報告書には「漁業者が自主的に海洋ごみを回収した場合はその処理費用を国が負担する」という施策が書かれています。

ごみを出さないためのガイドラインの作成、ごみが出た場合には自然に分解されるような漁具作り、回収を促す施策など様々な視点からゴーストフィッシングに対して対策が行われています。

まとめ

漁業

ゴーストフィッシングについてお話しました。

あまり聞きなじみのない言葉ですが、海洋プラスチックと同様に私たちの暮らしに深く関わってくる問題です。

私たちも地球環境にできることから始めていきましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

参照

※1 Richardson et al 「Challenges and misperceptions around global fishing gear loss estimates」(2019)

※2 Jambeck et al 「Plastic waste inputs from land into the ocean」(2015)

※3 Richardson et al 「Building evidence around ghost gear: Global trends and analysis for sustainable solutions at scale」(2018)

※4 Lebreton et al 「Evidence that the Great Pacific Garbage Patch is rapidly accumulating plastic」(2018)

※5 Kühn et al 「Deleterious Effects of Litter on Marine Life」(2015)

※6 Balderson and Martin 「Environmental impacts and causation of ‘beached’ Drifting Fish Aggregating Devices around Seychelles Islands: a preliminary report on data collected by Island Conservation Society」(2015)

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