なぜ板チョコは100円なの?チョコレートの値段が安い理由とは
こんにちは!衣食環境ブログのマイカです。
この記事では、チョコレートが安い理由についてお話していきます。
この記事は、
- 日本はカカオを生産していないのに、なんでチョコレートは安いの?
- 甘いチョコレートの裏側を知りたい
といった方におすすめの記事です。
ぜひ最後までご覧ください!
チョコレートとは
そもそも「チョコレートとは何か?」というところからお話していきます。
チョコレートには、ミルクやビター、ホワイトなど様々な種類がありますよね。
それらはすべて、カカオから作られています。
カカオの中にある種を焙煎した後、すりつぶしたものに砂糖やミルク、カカオバターなどを加えてチョコレートができあがります。
カカオや砂糖、ミルクの配合量の違いでビターやミルク、ホワイトなどチョコレートの種類が変わってきます。
カカオの生産国
チョコレートの原材料にあたるカカオは、栽培が難しく限定された地域でしか育つことができません。
カカオが育つには、以下の条件を満たす必要があります。
【カカオが育つ条件(参照:ICCO)】
- 平均気温27度以上
- 年間を通じて気温の上下幅が狭い
- 日照時間の平均が1日5時間~7時間
- 降雨量は年間2,000mm以上の高温多湿
- 土壌や土質は、ローム層系の粘土質40%以下の水はけが良いところ
これらの条件を満たしているのは、主に西アフリカや東南アジア、中南米です。
FAO(国際連合食糧農業機関)によると、カカオの生産国の第1位はコートジボワールで、2位がガーナ、3位がインドネシアで、この三ヵ国で世界のカカオ生産量の約67%を占めていると発表しています。
カカオは限定された地域でしか育たないので、生産国に偏りがあります。
日本のカカオの輸入先
日本のカカオは、約7割がガーナから輸入しています。
世界でのカカオ生産量の1位はコートジボワールですが、なぜか日本は7割以上ガーナから輸入しています。
日本がカカオの輸入先でガーナを選んでいる理由は、ガーナが国をあげてカカオの輸出に力を入れているからです。
質や輸出ルートを国が確保していることにより、日本ではガーナ産のカカオが多く取引されています。
なぜ日本のチョコレートは安いのか
チョコレートの原材料はカカオで、カカオの生産は限られた地域でしかできないこと、日本のカカオは7割以上がガーナからきていることをお話しました。
そして、ここからが本題です。
なぜ、日本では栽培できないカカオを使ったチョコレートが安いのか?
ここでお話するのは、デパートや専門店で売られている高級チョコレートではなく、スーパーなどで売られている100円のチョコレートについてです。
高級チョコレートも100円のチョコレートもカカオにかかる値段はあまり変わらないそうです。
しかし高級チョコレートの場合、カカオ以外の原材料のコストや製造過程にこだわりがある(パティシエが1つずつ手作りする等)のでその分のコストがかかり、値段が高くなります。
では、100円のチョコレートはどのようにして作られているのでしょうか。
100円のチョコレートが存在する理由
100円のチョコレート、つまり安いチョコレートが存在する理由は3つあります。
- カカオの国際価格が低下している
- カカオ農家の児童労働
- 植物油脂が使われている
一つずつお話していきます。
1.カカオの国際価格が低下している
チョコレートの値段が安い理由の一つとして、チョコレートの原材料であるカカオの国際価格が低下していることがあげられます。
カカオの商品価値は、天候や収穫高と商品需要など多くの要素によって左右されます。
カカオ市場は、ここ数年でも激しく変動しており増加と低下を繰り返し安定していません。
世界銀行によると2021年6月現在、カカオ1㎏あたり2.37USドル (円換算:260.55円/kg) と言われています。
カカオの国際価格は、激しく変動しながらも着実に低迷していっています。
2.カカオ農家の児童労働
カカオ農家の児童労働は、大きな問題になっています。
シカゴ大学NORC研究所の調査によると、カカオ生産量が世界で1位と2位であるコートジボワールとガーナにおいて以下のような結果が示唆されています。
【コートジボワールとガーナのカカオ農家にまつわる児童労働】
- カカオ生産にまつわる児童労働の人口は、コートジボワール(約79万人)、ガーナ(約77万人)で合わせると156万人
- カカオ農家世帯において、5-17歳の子どもの45%がカカオ生産にまつわる児童労働をしている
- 少なくとも一つは危険有害な児童労働(虐待、長時間労働、重い荷物の運搬等)にさらされている人口は、コートジボワール(約77万人)、ガーナ(約71万人)で合わせると148万人
- カカオ農業世帯において、5-17歳の子どもの43%がカカオ生産にまつわる危険有害な児童労働をしている
以上のように、カカオ生産にまつわる児童労働が多いのが現状です。
児童労働を強いる理由の一つとして、低賃金雇用があげられます。
子どもを安い賃金で働かせることにより、カカオを育てるためのコストダウンをはかっています。
私たち消費者の安さを求める消費行動も、児童労働をうむ原因になっています。
※児童労働については以下の記事でより詳しく書いているので、興味のある方はぜひご覧ください!
3.植物油脂が使われている
チョコレートの原材料名を見たら、大体「砂糖、全粉乳、カカオマス、ココアバター、植物油脂、乳化剤、香料」と書かれています。
この原材料名の順番と内容がポイントです。
順番は、一番多く含んでいるものから書かれるようになっています。この場合だと、砂糖が一番多く含まれています。
また内容は、「カカオから作られたものがどれだけ入っているのか」と「代替品は何か」に注目します。
ここでは、カカオから作られたものはカカオマスとココアバターです。
そして代替品は、植物油脂です。植物油脂はココアバターの代わりに使われ、一般的は板チョコでは5~10%使われています。
植物油脂はココアバターよりも安いので、チョコレートのコストを下げるために大量に使われていることもあります。
おすすめのチョコレート
チョコレートを選ぶ際におすすめのポイントがあります。
- 原材料を見る
- 植物油脂は避ける
- フェアトレード商品を選ぶ
以上の3点です。一つずつお話していきます!
1.原材料を見る
まず、原材料を見て砂糖や植物油脂が一番に書かれているチョコレートは避けましょう。
一般的なチョコレートは約30~40%が砂糖です。植物油脂は約5~10%なのでチョコレートと言っても約35~50%はカカオではないものを食べることになります。
2.植物油脂は避ける
植物油脂は、身体によくない脂です。
植物油脂は、糖尿病やがん、うつ病、認知症といった病気を招く危険が指摘され、米国では使用が禁止されたトランス脂肪酸を含んでいます。
チョコレートは中毒性もあり食べ過ぎてしまうこともあるので、なるべくココアバターやカカオバターで作られたチョコレートを選ぶことをおすすめします!
3.フェアトレード商品を選ぶ
フェアトレードとは、「公正取引」といった意味で、生産者の労働や生産に見合った価格で取引をすることです。
フェアトレード商品を選ぶことで、経営者が値引きをしなくても正しい価格で取引ができ、児童労働を強いられている子どもたちにも労働に見合った対価が渡せたり、労働をしなくてもよくなります。
本来はフェアトレード商品が、そのものにかかる正規の値段です。
フェアトレードの商品は高いと感じてしまうかもしれませんが、普段売られているチョコレートが安すぎたのです。
※フェアトレードについては以下の記事で書いているので、ぜひ参考にしてください!
まとめ
チョコレートが安い理由についてお話しました。いかがだったでしょうか?
チョコレートが安いのには、児童労働やカカオの国際価値の低下などの社会背景から、原材料に関することまであらゆる問題がありました。
一番大きな問題はやはり、児童労働だと考えています。
児童労働をなくすためには寄付や募金だけでなく、フェアトレード商品を買ったりするなど普段の消費行動を改めるだけで協力することができます。
チョコレートでこれだけの問題が絡まりあっているのだから、世界の問題は複雑だなと感じています。
何か一つでも今日から環境や社会にいいことをはじめられたらいいですね!
最後まで読んでいただきありがとうございました!