サンゴ礁を守るためにできることは?海外と日本の取り組み事例

サンゴ礁 環境問題

サンゴ礁を守るためにできることは?海外と日本の取り組み事例

こんにちは!衣食環境ブログのマイカです。

この記事では、サンゴ礁を守るための海外と日本の取り組みについてお話していきます。

魚の住みかやエサ場となり、美しい海を作り出してくれるサンゴ礁。

現在では絶滅危惧種にも指定されており、世界中でサンゴ礁を守ろうとする動きが高まっています。

この記事は、

  • サンゴ礁の現状が知りたい
  • サンゴ礁を守るために海外と日本ではどんな取り組みが行われているの?

といった方におすすめの記事です。

ぜひ、最後までご覧ください!

サンゴ礁の現状

サンゴ礁

近年、サンゴ礁は環境の変化により急速に減少しています。

サンゴ礁の減少は、 サンゴ被度の結果で確かめることができます。

サンゴ被度の「被度(ひど)」とは、植物が地表を覆っている割合のことで、つまり、サンゴ礁がどれだけ海底を覆っているかの割合になります。

この割合が下がれば、サンゴ礁が減少していることがわかります。

2000年代に発表されたサンゴ被度の結果は以下のように報告されています。(参照※1.2.3)

  • カリブ海 50%(1970年代)→ 10%(2000年代)
  • オーストラリア 28.0%(1985年)→ 13.8%(2012年)
  • インド、太平洋 42.5%(1980-1983年)→ 22.1%(2003年)

また、GCRMN(地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク)によると、1998年以降、19%のサンゴ礁が失われ、35%が危機的な状況であることが報告されています。

そしてサンゴ礁が減少する原因として、台風オニヒトデによる食害、海水温度の上昇による白化現象(サンゴの骨格が見え、長い期間続くとサンゴが死滅する)などがあげられます。

水産庁によると、

世界のサンゴ礁の58%が潜在的に私たち人間の活動(沿岸開発、生物資源の乱獲、海洋汚染、森林伐採や農地開発に起因する表土の流出など)によって脅かされている

農林水産省「水産庁:サンゴ礁の働きと現状

との調査報告もされています。

サンゴ礁は年々減少しており、その原因は私たち人間の行動や自然災害、食害などさまざまです。

サンゴ礁を守る取り組み

サンゴ礁

サンゴ礁を失うと、海の生物の減少地球温暖化津波被害の増加などが起こると考えられています。

そのため、サンゴ礁の絶滅は防がなければいけないものとし、世界中でサンゴ礁を守るために様々な取り組みが行われています。

取り組み事例について世界と日本に分けてお話していきます。

※サンゴ礁の役割については以下の記事で書いているので、ぜひ参考にしてください。

海外の取り組み事例

サンゴ礁

アメリカ、ハワイ、オーストラリアの取り組みについてお話していきます。

【アメリカ】

アメリカは、2015年にNOAA(アメリカ海洋大気庁)が「サンゴ礁保護プログラム」を発表しました。

このプログラムでは、アメリカの7つの州及びカリブ・ミクロネシア地域のサンゴ礁の保全と研究に930万ドル超を助成しています。

助成した資金は、州が主体で行っているサンゴ礁保護プロジェクトやNGOが主体で行っている保護プロジェクトに提供されます。

提供先での取り組みは、病気や環境に強いサンゴの遺伝子研究サンゴ礁地域での気候変動への対策持続可能な漁業の支援などが行われています。

アメリカでは、国がサンゴ礁を守る取り組みを支援しています。

【ハワイ】

2021年1月1日からハワイでは、特定の物質が入っている日焼け止めの販売を禁止する法律が施行されました。

日焼け止めに配合されている紫外線吸収剤の「オキシベンゾン」「オクチノキサート」という成分が、サンゴに悪影響を与えると指摘され、販売が禁止になりました。

この2つの成分は、

  • サンゴの体内にいる褐虫藻にダメージを与え、サンゴの白化現象を起こす
  • サンゴのDNAにダメージを与え、成長を妨げる
  • 食物連鎖によって人間の体内に入る

などの影響を与えることが報告されています。

これにより、ハワイでは「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」が入った日焼け止めの販売を禁止しています。

※サンゴ礁と日焼け止めについては以下の記事で書いているので、ぜひ参考にしてください。

【オーストラリア】

オーストラリアには、世界遺産にも登録されている世界最大のサンゴ礁群「グレートバリアリーフ」が存在します。

しかし、1995年から2017年にかけてグレートバリアリーフのサンゴの種類と規模が50%以下に減っていることが研究で発表されました。(参照※4)

さらに2019年の研究では、白化したサンゴ礁のほとんどが死滅していたため、再生が進んでいないことも発表されています。

サンゴ礁減少の原因の一つである地球温暖化に対して、オーストラリア政府は「サンゴ礁の復元と適応プログラム(RRAP)」として大胆な支援プロジェクトを始めました。

このプロジェクトには、新しい発想の取り組みもあります。

  • サンゴ礁の海域に霧を発生させて、サンゴ礁にあたる太陽の光を弱める
  • 耐熱性のあるサンゴ礁を人工ふ化させる

などどいった取り組みが考えられています。

すでに実現する際のコストの計算もしており、導入される日も遠くはないかもしれません。

日本の取り組み事例

サンゴ礁

日本では、サンゴを守る取り組みを行っている漁業者や企業があります。

漁業者、AGC、三菱商事の取り組みについてお話していきます。

【漁業者】

水産庁によると、全国約25の漁協でサンゴの保全活動が行われていると報告されています。

活動内容としては、

  • サンゴ礁のモニタリング活動
  • サンゴを食べて成長するオニヒトデの駆除
  • 弱っているサンゴの再生

が行われています。

特に、異常繁殖したオニヒトデの駆除を漁業者だけでなく、ダイビング業者や市民ボランティアも協力して行っています。

【AGC】

AGCグループは、東南アジアのサンゴ礁保全に取り組んでいます。

東南アジアは、世界でもサンゴ礁が多く生息する地域です。

タイとインドネシアで、サンゴ礁を再生させるための取り組みを行っており、自社で製造したポリ塩化ビニルの容器を海底に沈め、サンゴを育成しています。

【三菱商事】

三菱商事は、2005年度に「サンゴ礁保全プロジェクト」を開始しました。

このプロジェクトは、サンゴ礁を保全するための研究への財政的・人的支援を行っています。

大学やNGO団体、海外の研究チームとも繋がり、サンゴ礁の生態調査や白化現象の研究などに取り組んでいます。

まとめ

サンゴ礁

サンゴ礁を守るための世界と日本の取り組みについてお話しました。

サンゴ礁の周りには豊かな生態が溢れており、美しい海が広がっています。

海を浄化する役割や海の生物の住みか、エサ場になっているサンゴ礁がなくなると綺麗な海をみることができなくなります。

海の豊かさを守るためにも地球に優しい暮らし方がしていきたいですね。

最後までご覧いただきありがとうございました!

参照

※1 Long-Term Region-Wide Declines in Caribbean Corals(Gardner et al. 2003)

※2 The 27–year decline of coral cover on the Great Barrier Reef and its causes(De'ath et al. 2012)

※3 Regional Decline of Coral Cover in the Indo-Pacific: Timing, Extent, and Subregional Comparisons(Bruno and Selig 2007)

※4 Proceedings of the Royal Society B

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