日本人は環境問題に関心がない?世界と比べて環境問題意識が低いと言われるのはなぜか
こんにちは!衣食環境ブログのマイカです。
この記事では、日本人の環境問題意識についてお話していきます。
「日本人は環境問題に無関心」や「興味がない」といった言葉をよく耳にします。
環境先進国に比べて、環境問題への取り組みが遅れているのは事実ですが、本当に日本人は環境問題に興味がないのでしょうか。
この記事は、
- 日本人が環境問題に興味がないって本当?
- 環境問題に無関心と言われている理由は?
- なぜ世界と比べて環境意識が低いと言われているの?
といった方におすすめの記事です。
ぜひ、最後までご覧ください。
日本人は環境問題に無関心なのか
日本人の環境問題意識について、内閣府が行った「環境問題に関する世論調査」と日本生命保険相互会社が行った「環境問題に対するアンケート調査」を参考にお話していきます。(※1.2)
日本生命保険相互会社が実施したアンケート調査(期間:2021年9月1日~14日、方法:インターネットアンケート、回答者数:10,138名)では、「環境問題について関心はありますか?」という問いに対して、全体の75.5%が「とても関心がある(13.9%)」「関心がある(61.6%)」と回答しています。
また、内閣府が実施した世論調査(期間:2019年8月22日~9月1日、方法:調査員による個別面接聴取法、有効回答数:1,667名)では、「プラスチックごみによる海の汚染などのプラスチックごみ問題への関心度」を聞いたところ、全体の89.0%が「非常に関心がある(33.5%)」「ある程度関心がある(55.5%)」と回答しています。
これらの結果から、日本人は環境問題に無関心ではない、むしろ関心があることがわかります。
内閣府「環境問題に関する世論調査」の結果
内閣府が実施した調査では、
- プラスチックごみ問題への関心度(プラスチックごみによる海洋汚染などに関心があるか)
- プラスチックごみ問題への認識(プラスチックごみによる海洋汚染についてどのようなことを知っているか)
- プラスチック製容器包装・製品(過剰だと思うプラスチック包装はあるか)
- プラスチックごみ問題解決に向けた取組(今後どのような取り組みを行っていきたいか)
- 代替製品の購入条件(どのような条件であれば、代替製品を購入してもよいと思うか)
- 自然に対する関心度(自然に対して、どの程度関心があるか)
- 自然の働きに関する認識(自然の働きについて、どのようなことが重要だと考えるか)
- 生物多様性の言葉の認知度(生物多様性の言葉の意味を知っているか)
- 生物多様性国家戦略の言葉の認知度(生物多様性国家戦略を知っていたか)
- 生物多様性の危機要因への関心事項(生物多様性の危機を招く要因について、どのようなことに関心があるか)
- 生物多様性保全のための取組(生物多様性の保全に貢献する行動で取り組んでいること、または取り組んでみたいこと)
- 生物多様性保全のための活動に関する条件(どのような条件であれば、ボランティアなどにより行われている生物多様性の保全を目的とした活動に参加してもよいと思うか)
- ペットが人に与える影響(ペットを飼育することによって、飼い主または周囲の人の生活にどのような影響を与えると思うか)
- ペットの殺処分に対する意識(ペットの殺処分について、どのような場合に許容できると考えるか)
- 人間とペットが共生する社会の実現に向けた施策(人間とペットが共生する社会の実現のために、行政がどのような取組に重点を置く必要があると思うか)
以上、15の質問をしてます。
質問1「プラスチックごみ問題への関心度」について、「関心がある」と回答した割合が89.0%という結果でした。
非常に関心がある | 33.5% |
ある程度関心がある | 55.5% |
あまり関心がない | 9.1% |
全く関心がない | 1.7% |
また、質問7「自然の働きに関する認識」について、「CO₂や大気汚染物質の吸収などの大気や気候を調整する働き」と回答した割合が71.2%と最も高い結果となりました。
CO₂や大気汚染物質の吸収などの大気や気候を調整する働き | 71.2% |
水資源の供給・水質浄化の働き | 62.6% |
動物・植物など生物の生息・生育地としての働き | 55.5% |
紙、木材、肥料などの原材料を供給する働き | 46.7% |
日本生命保険相互会社「環境問題に対するアンケート調査」の結果
日本生命保険相互会社が実施した調査では、
- 環境問題への関心度
- 最も関心が高い環境問題
- 環境問題への個人の貢献度
- 環境問題に関して日常的に取り組んでいること
- 環境問題への解決に向けて必要だと思うこと
- 商品購入の際に重視すること
- 環境に配慮している商品としていない商品の価格差
- 環境がテーマの金融商品への投資の有無
- 環境がテーマの金融商品にリターンが下がっても投資したいか
- SDGsの言葉の認知度
- パリ協定の言葉の認知度
- カーボンニュートラルの実現目標を知っているか
- カーボンニュートラル実現に向けて必要だと思うこと
- ESG投資の言葉の認知度
- ESG投資は普及していくと思うか
- COP26の会議の内容を知っているか
- 環境問題に関する知識や情報をどこで得ているか
以上、17の質問をしています。
質問1「環境問題への関心度」について、「関心がある」と回答した割合は75.5%という結果でした。
とても関心がある | 13.9% |
関心がある | 61.6% |
あまり関心がない | 21.1% |
全く関心がない | 3.4% |
質問2「最も関心が高い環境問題」について、「気候変動・地球温暖化」と回答した割合が75.8%と最も多い結果となりました。
気候変動・地球温暖化 | 75.8% |
大気汚染 | 6.2% |
海洋汚染 | 4.5% |
その他 | 3.9% |
オゾン層の破壊 | 3.0% |
有害廃棄物の越境移動 | 2.2% |
生物多様性の減少 | 1.6% |
熱帯林の減少 | 1.3% |
砂漠化 | 0.9% |
酸性雨 | 0.7% |
質問3「環境問題への個人の貢献度」について、「貢献したいと思う」と回答した割合が58.5%で最も多い結果となっています。
貢献したいと思う | 58.5% |
どちらとも言えない | 37.1% |
貢献したいと思わない | 4.4% |
質問4「環境問題に関して日常的に取り組んでいること」について、「マイバッグ・マイボトルなどの持参」と回答した割合が67.8%で最も多い結果となっています。
マイバッグ・マイボトルの持参 | 67.8% |
ゴミの分別廃棄 | 64.5% |
節電・節水 | 46.8% |
公共交通機関の利用 | 19.4% |
環境に配慮した商品の購入・利用 | 18.3% |
再生可能エネルギーの利用 | 10.8% |
特に取り組んでいない | 8.1% |
環境保全ボランティア等への参加 | 4.6% |
その他 | 1.9% |
質問5「環境問題への解決に向けて必要だと思うこと」について、「企業の取り組み強化」と回答した割合が58.9%で最も多い結果となっています。
企業の取り組み強化 | 58.9% |
個人の取り組み強化 | 46.7% |
世界的な枠組みの構築 | 36.1% |
学校教育における意識醸成 | 28.3% |
企業への法的規制 | 24.9% |
環境保全団体等への政府からの出資 | 15.6% |
個人への法的規制 | 12.7% |
ボランティア等の活性化 | 7.9% |
その他 | 5.1% |
日本人が一番関心のある環境問題は?
2つの調査結果から、多くの人が「気候変動・地球温暖化」問題に関心があることがわかりました。
「気候変動・地球温暖化」は、毎年更新される最高気温や連日の猛暑日などで、身近に感じやすいからこそ関心が高まっていると考えられます。
また、2020年10月26日に菅首相が「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち脱炭素社会の実現を目指す」と発表して以降、「脱炭素」や「カーボンニュートラル」といった言葉をよく聞くようになったことも「気候変動・地球温暖化」に関心がある人が多い理由だと考えられます。
※地球温暖化については以下の記事に詳しく書いているので、ぜひ参考にしてください。
日本人が環境問題意識が低いと言われる理由は?
北欧やヨーロッパの環境先進国と比べると日本の環境問題対策は遅れている印象がありますが、調査結果からわかるように、決して日本人が環境問題に対して「無関心」でも「興味がない」わけでもありません。
実際に、7割以上が「環境問題に関心がある」と回答し、半数以上が「環境問題に貢献したい」とも回答しています。
では、なぜ日本人は環境問題意識が低いと言われているのでしょうか。
その理由として、「日本人は負担意識が高い」ことと「環境問題は個人よりも企業や政府が取り組むもの」と考えている人が多いことが関係しているのではないかと考えています。
日本人は「負担意識が高い」
日本人の多くは、気候変動対策をする場合「生活の中で我慢が増える」と感じる方が多く、環境問題への取り組みが負担に感じる方が多いようです。
2015年に行われた世界市民会議(World Wide Views on Climate and Energy)の報告の中に、世界の気候変動対策への意識調査がありました。(※3)
そこで、「あなたにとって,気候変動対策はどのようなものですか」という問いに対して、日本では「生活の質を高めるもの」と回答している人が17%しかおらず、反対に60%が「生活の質を脅かすもの」と回答しています。
回答 | 世界平均(%) | 日本(%) |
多くの場合,生活の質を高めるものである | 66% | 17% |
多くの場合,生活の質を脅かすものである | 27% | 60% |
日本は、環境問題対策に対して「時間や手間、お金がかかる」といった負担に、ネガティブなイメージを持っている人が多いことがわかります。
世界の環境意識が高い国では、この負担を進んで受け入れる印象があり、社会全体で負担を受け入れる体制ができているのでしょう。
環境問題は個人よりも企業や政府が取り組むもの
日本生命保険相互会社が実施した調査で、「環境問題への解決に向けて必要だと思うこと」という問いに対して、一番多かった回答が「企業の取り組み強化」でした。
その次に、「個人の取り組み強化」、「世界的な枠組みの構築」となっていますが、個人が日常的に取り組むことよりも、企業や政府などといった大きな組織が環境問題に取り組んでいくべきと考えている人が多いようです。
ここにも日本人の負担意識の高さが垣間見れると感じており、個人ではあまり負担を負いたくないので、企業や政府が努力してね、といった風に捉えられるなと感じています。
まとめ
日本人の環境問題意識についてお話しました。
環境問題に関心があると回答した方は7割を超え、特に「気候変動・地球温暖化」に対して危機感のある方が多いことがわかりました。
日本人は環境問題に無関心、興味がない、環境意識が低いと言われていますが、環境問題対策が世界と比べて遅れてはいますが、決して興味がないわけではありません。
私たちにも今日からできる環境問題対策がたくさんあるので、少しずつでも行っていきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
※環境問題対策については以下の記事で書いているので、ぜひ参考にしてください。
参照
※1 内閣府「環境問題に関する世論調査」(https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-kankyou/index.html)
※2 日本生命保険相互会社「環境問題に対するアンケート調査」(https://www.nissay.co.jp/news/2021/pdf/20211015b.pdf)
※3 World Wide Views on Climate and Energy 世界市民会議「気候変動とエネルギー」開催報告書(https://www.jst.go.jp/sis/scienceinsociety/investigation/items/wwv-result_20150709.pdf)