洗剤を使いすぎると環境にどんな影響があるのか～合成洗剤と環境問題について～
こんにちは！衣食環境ブログのマイカです。
この記事では、合成洗剤と環境問題についてお話していきます。
生活の中で必ず行う洗濯ですが、環境汚染に繋がっている可能性があります。
この記事は、
- 合成洗剤は環境問題と関係があるの？
- 身近な環境汚染が知りたい
- 環境負荷が少ない洗剤が知りたい
といった方におすすめの記事です。
ぜひ最後までご覧ください。
合成洗剤は環境にどのような影響を与えているのか
洗剤には、水と油の性質を持ち、汚れを落とす役割のある「界面活性剤」が使われています。
汚れを落とすのに優秀な界面活性剤ですが、使用されている原料によっては環境問題に繋がる恐れがあります。
【界面活性剤とは】
界面活性剤とは、水と油などといった本来ならば混ざらないもの同士を混ぜ合わせることができる成分です。（参照※1）
水と油には界面と呼ばれる境目が存在します。
界面活性剤はその境目（界面）に作用して、界面の性質を変えられるため、水と油を混ぜることができます。
界面活性剤は、洗剤以外にも化粧品やシャンプー、食品などにも使われています。
合成洗剤の歴史
合成洗剤は、第一次世界大戦中のドイツで石鹸の原料である食用油脂が不足したため、石炭から合成されたアルキルナフタリンスルホン酸塩を使って作られたのが始まりです。（※2）
1933年には、石炭や石油から「アルキルスルホン酸塩(SAS)」と「アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)」が開発され、家庭用洗剤として合成洗剤が販売されるようになりました。
日本では、1963年に合成洗剤の生産量が石鹸を上回るようになり、急速に合成洗剤が普及しました。
過去に起こった合成洗剤問題
合成洗剤が普及するようになった1960～1970年代では、洗剤の安全性についていくつかの問題が起こりました。（※3）
- 人体安全性論争（界面活性剤の急性毒性や慢性毒性について）
- ABSの発泡問題（界面活性剤ABSの分解が遅く、下水処理場や川に泡があふれた問題）
- 富栄養化問題（リン塩酸を食べるプランクトンが増殖し川や湖で生態系に異常をきたした問題）
いずれもすでに解決されている問題です。
現在は、分解しやすい界面活性剤に改良されたり下水処理場の技術も向上しているため、以前のような公害は起こらないと言われています。
しかし、現在の下水処理場でも100％界面活性剤を除去ことはできず、分解しきれなかった界面活性剤が川や海に流れ出てしまいます。（※4）
水生生物への影響
界面活性剤の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩（LAS）は、洗浄力や浸透力に優れており価格も低いことから家庭用合成洗剤によく使用されています。
しかし、水中に残留しやすく水生生物への毒性が比較的強いことが指摘されています。（※5）
下水処理場で除去されているにも関わらず、河川等に流出しLASが水中に漂うと、魚のえらなどの組織に損傷が生じたり魚の遊泳行動に影響を与えます。
LASなどの自然由来ではない界面活性剤は、自然界や生物の体内で分解することができないため、自然界に残り続け水生生物の生態系に異常をきたすことになります。
人体への影響
洗剤は、口に入れたり飲み込んだりしない限り、安全性が保障されているもののみ販売されています。
しかし石油からできた界面活性剤は、肌荒れやアトピーを引き起こす可能性があると言われています。
さらに、界面活性剤が体内にある魚を食べてしまうと、知らず知らずのうちに人体に取り込んでしまいます。
人体でも界面活性剤は分解できないので、体内に蓄積されていきます。
まとめ
合成洗剤と環境問題についてお話しました。
成分を気にすることなく値段やパッケージで買いがちな洗剤ですが、環境や人体にも危険が及ぶ恐れがあります。
自分のためにも環境のためにもできるだけ天然由来のものを選びたいですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
おすすめの洗剤については以下の記事で書いているので、ぜひ参考にしてください。
参照
※1 石鹸百科「界面活性剤とは」
※2 石鹸百科「合成洗剤の歴史」
※3 日本石鹸洗剤工業会「洗剤の安全性と環境への影響」
※4 「水環境系に対する界面活性剤の影響」（https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/7/1/7_19/_pdf）
※5 「界面活性剤の水環境への影響」（https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos1996/45/10/45_10_1189/_pdf）