
油の流出による海洋汚染とは?原因と生態系への影響、回収方法について
こんにちは!衣食環境ブログのマイカです。
この記事では、油の流出による海洋汚染についてお話していきます。
近年、海洋汚染の代表例として海洋プラスチックがあげられており、プラスチック削減やゴミを減らす方法などが海洋汚染の解決になると言われています。
しかし、海洋汚染の原因は海洋プラスチックだけでなく、油の流出も海の環境や生態系に影響を与えている問題の一つです。
この記事は、
- 油の流出がなぜ海洋汚染につながるの?
- 海に油が流れる原因は?
- 流れ出た後どうやって処理するの?
といった方におすすめの記事です。
ぜひ最後までご覧ください。

油の流出による海洋汚染

海洋汚染の原因には、海洋ごみや生活排水、工場排水、不法投棄などがありますが油の流出も原因の一つです。
2020年にインド洋の島国モーリシャス沖で日本の会社が所有する貨物船が座礁し、およそ1000トンの重油が海に流出したことが世界中でニュースに取り上げられました。(参照※1)
この事故で漂着した油が、マングローブの林を黒く染めた映像は日本でも報道され、大きな衝撃を与えられました。
令和2年時点で、日本の海洋汚染発見件数は453件、平成30年以降増加傾向にあります。(※2)
そのうち、油による海洋汚染は286件で全体の半数以上を占めているのが現状です。
※海洋汚染については以下の記事で書いているので、ぜひ参考にしてください。
原因

油の流出の原因は、船舶からの流出が最も多く、167件確認されています。
他には、陸上や排出源不明の流出が原因となっています。
船舶からの排出原因別では、
- 船舶海難(50件)
- 取り扱い不注意(48件)
- 破損(38件)
- 故意(26件)
- その他(5件)
となっています。
事故とは違い、取り扱い不注意による油の排出が約4分の1を占めています。
生態系への影響

油が流出することで、海の生物に直接的な汚染や窒息作用、有毒性などといった問題があります。
プランクトンや海面を泳ぐ魚はもちろん、海鳥やクジラ、イルカなど呼吸をするために海面に上がってくる海洋哺乳類が油の影響で死んでしまう可能性があります。
他にも、海藻類は光合成ができなくなったり、貝類は石油臭くなり食べられなくなったりといったことが起こります。
過去の油の流出による影響

1978年、フランス・ブルターニュ沖で大型原油輸送船が座礁し、20万トン超の原油が海中に漏れ出した事故では、フランスの海岸は約320キロにわたって原油に汚染されました。
その結果、
- 軟体動物や甲殻類などの無脊椎動物 … 何百万匹
- 鳥類 … 2万羽
以上の生き物が油による被害で死んだと言われています。
また、2010年メキシコ湾でおきた「ディープウォーター・ホライズン」事故では、プランクトンからイルカまで何千種もの生き物が死に、その後も海洋生物の繁殖力が弱まり、成長が損なわれたことが発表されています。(※1)
油の回収方法

海へ油が流れ出た時の回収方法として、機械を使用する場合や手作業、薬剤を使用するなどといった方法がとられています。
海面に浮かんでいる油は、油の拡散を抑え、オイルマットなどで回収されます。
回収しきれなかった場合には、油中和剤(油を分散・細かくする薬剤)を使用し、微生物の分解を促す方法もありますが、油中和剤自体が環境に良くないと言われており、あまり使われることはありません。
実際に、モーリシャス沖で起こった事故でも、薬剤や機械の使用が動植物に影響を与える恐れがあると判断され、手作業で油の回収が行われました。
海上での油の回収は長時間かかるため、海岸に油が漂着していることも多く、海岸でも油吸着材などを利用した手作業で回収が行われるそうです。
まとめ

油による海洋汚染についてお話しました。
実際に、日本で確認されている海洋汚染件数では廃棄物よりも油の流出が多いのが現状です。
油の流出は海洋生物にも、私たち人間にも影響を与えます。
私たちにできることはないのか、考えていきたいですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。

参照
※1 BBC news「モーリシャス沖の貨物船の重油流出、なぜ深刻なのか」(https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53774997)
※2 海上保安庁(https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/r3/k210217/k210217.pdf)
