カーボンオフセットと炭素クレジットって?アメリカの取り組み事例を紹介!
こんにちは!衣食環境ブログのマイカです。
この記事では、カーボンオフセットと炭素クレジットについてお話していきます。
カーボンニュートラルと似ている言葉の「カーボンオフセット」。
一体何が違うのでしょうか。
この記事は、
- カーボンオフセットって何?
- 炭素クレジットについて知りたい
- 海外の事例はあるの?
といった方におすすめの記事です。
ぜひ最後までご覧ください。
カーボンオフセットとは?
カーボンオフセットとは、直訳すると「炭素を埋め合わせる」という意味です。
二酸化炭素の排出量削減に取り組んでいても排出されてしまう二酸化炭素に対して、温室効果ガス削減活動に投資をしたり、農業などの作物で吸収された二酸化炭素をクレジットという形で購入するなどして「炭素を埋め合わせること」がカーボンオフセットです。(参照※1)
なぜカーボンオフセットに取り組むのか
カーボンオフセットに取り組む理由は、地球温暖化対策になるからです。
現在、すでに地球の温度は約1℃上昇していると報告されており、このままの状況が続けば「2100年の平均気温が最大で4.8℃上昇する」とも予想されています。(※2.3)
地球温暖化の原因は、人為的な行動や自然現象により温室効果ガスが大量に排出されることです。
その中でも、二酸化炭素の排出量は全体の7割以上を占めているため、二酸化炭素の排出量を削減することが地球温暖化対策になると考えられています。
※二酸化炭素と地球温暖化については以下の記事で書いているので、ぜひ参考にしてください。
カーボンニュートラルとの違い
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と吸収量を同じにし、実質排出量をゼロにするという考え方です。
バイオマス発電を例にすると、「バイオマス(木材や生ごみ等)を燃やす際に発生する二酸化炭素は、収穫される前のバイオマスが吸収した二酸化炭素なので実質排出量はゼロになる」ということです。
カーボンニュートラルは、カーボンオフセットをさらに強化し、徹底的に二酸化炭素の排出量を増やさないことを目指した取り組みです。
※カーボンニュートラルついては以下の記事に書いているので、ぜひ参考にしてください。
カーボンオフセットはどう取り組む?
カーボンオフセットには、主に5つの取り組み方があります。(※4)
- 商品使用・サービス利用オフセット
- 会議・イベント開催オフセット
- 自己活動オフセット
- 寄付型オフセット
- クレジット付製品・サービスオフセット
1.商品使用・サービス利用オフセット
製品を製造・使用・廃棄したり、サービスを提供・利用したりする際に排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせる取り組み。
ファミリーマートでは、環境配慮型プライベートブランド「We Love Green」商品の原料から製造、廃棄までのCO₂排出量239tをオフセットしています。
2.会議・イベント開催オフセット
コンサートやスポーツ大会、国際会議等の開催に伴って排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせる取り組み。
イベント参加者への普及にも繋がる取り組み方です。
横浜市では、横浜FCの一部の試合で使用する電力に伴うCO₂排出量や移動に伴うCO₂排出量をオフセットし、そうめん流しのイベント開催時に発生するCO₂排出量19.71kgをオフセットしています。
3.自己活動オフセット
自らの活動(事業活動等)に伴って排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせる取り組み。
オフィスや現場で発生する電力やガスなどをオフセットする取り組み方です。
阪急電鉄では、駅の運営に伴うCO₂排出量115t(約3年間分)をオフセットしています。
4.寄付型オフセット
製造者や販売者、サービス提供者が、それらを利用する消費者に対して、クレジットの活用による地球温暖化防止活動への貢献・資金の提供などを目的として参加者を募り、クレジットを購入・無効化する取り組み。
消費者が企業を通して、プロジェクトに寄付する形を取るのが、寄付型のオフセットです。
5.クレジット付製品・サービスオフセット
製品の製造者やサービスの販売者が、対象商品に予めクレジットを付け加えて販売することで、購入者の日常生活の温室効果ガス排出量などを埋め合わせを支援する取り組み。
企業だけでなく、購入者もオフセットできるようになっている取り組み方です。
ローソンでは、お客さまの生活から排出されるCO2排出量の一部をオフセットできるサービスを展開しています。
海外の取り組み事例
アメリカやイギリスなどの海外の国では、「炭素クレジット」市場が拡大し続けています。
炭素クレジットとは、農業や植林などで吸収される温室効果ガスをクレジットとして発行し、企業との間で売買できる仕組みです。
つまり、「吸収した温室効果ガスがお金になる」ということです。
2021年時点で、1トン当たり平均5ドルほどで取り引きされており、今後も需要が高まっていくことが考えられるので、もっと高値で取引ができるようになると予測されています。
アメリカの取り組み事例
バイデン政権は環境政策を重視しているため、アメリカでは炭素クレジットの導入やカーボンニュートラルの実現に力を入れています。
農業を営んでいる方が炭素クレジットを導入した例では、約1200ヘクタールの畑を使って5年間で17万5000ドル(1900万円)の取り引きができています。
また、マイクロソフト社でも炭素クレジットの導入がされており、自社で排出する二酸化炭素を実質マイナスになるように動き始めています。
炭素クレジットの購入だけでなく、二酸化炭素の回収設備を手がけている企業への出資なども行い、カーボンニュートラルに向けて取り組んでいます。
まとめ
カーボンオフセットについてお話しました。
カーボンオフセットは、排出した二酸化炭素を炭素クレジットや投資で「炭素を埋め合わせる」という考え方です。
アメリカではすでに導入が始まっており、需要も高まっています。
また、日本でも2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、炭素クレジットを創出する企業や導入を始めている企業があります。
炭素クレジットに興味のある方はぜひ調べてみてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参照
※1 環境省「カーボン・オフセット」(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset.html)
※2 気象庁「日本の気候変動2020-大気と陸・海洋に関する観測・予想評価報告書ー」(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/2020/pdf/cc2020_gaiyo.pdf)
※3 環境省「IPCC第5次評価報告書の概要」(https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf)
※4 経済産業省「カーボン・オフセットの取組事例」(https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sangi/carbon_neutral/pdf/001_04_02_02.pdf)