バーチャルウォーター(仮想水)問題って?私たちができる取り組みとは?
こんにちは!衣食環境ブログのマイカです。
この記事では、バーチャルウォーターについてお話していきます。
バーチャルウォーターを直訳すると「仮想水」という意味です。
仮想水が私たちの生活や世界の人々にどのような影響を与えているのでしょうか。
この記事は、
- バーチャルウォーターって何?
- 私たちの暮らしにどう関係するの?
- 今日からできる取り組みはあるの?
といった方におすすめの記事です。
ぜひ最後までご覧ください。
バーチャルウォーターとは?
バーチャルウォーターとは、ロンドン大学東洋アフリカ学科名誉教授のアンソニー・アラン氏が提唱した概念で、「食料を輸入している国が、その食料を自国で生産した場合を仮定して、どの程度の水の量が必要になるかを推定した数値」のことです。(参照※1)
例えば、1㎏のトウモロコシを生産するには1.800リットルの水が必要と言われています。(※1)
そのため、トウモロコシ1㎏を輸入した際に1.800リットルのバーチャルウォーターも輸入していることになります。
食料の輸入は、その国の水も一緒に輸入していることになり、水不足で悩んでいる国に大きなストレスを与えることになります。
バーチャルウォーターの何が問題なの?
バーチャルウォーターの問題点は、輸出国の水資源を間接的にもらうことです。
水資源が豊かな国ではあまり問題がありませんが、水資源が乏しい国では水不足問題を悪化させる原因の一つになります。
そして、世界の水使用量の7割を農業用水が占めており、農業が水資源を大量に使用していることがわかります。(※2)
世界の水不足に悩んでいる人口が、2018年時点で8億4.400万人にも上り、清潔な水を求めて長い道のりを歩く生活や、不衛生な水を飲まなければいけない生活をしています。(※3)
SDGsの達成目標に掲げられるほど、水不足は深刻な問題です。
また、バーチャルウォーターの問題は輸出国の水不足ではありません。
輸入国が食料の入手が困難になったり、価格が高騰するリスクを抱えることも問題視されています。
特に日本は、食料自給率が低く6割以上を輸入に頼っている状態です。
ほぼ海外の水で生活しているといっても過言ではありません。
2005年に海外から日本に輸入されたバーチャルウォーター量は約800億立方メートルで、この水の量は日本国内で使用される年間水使用量と同程度であることが報告されています。(※1)
私たちの生活は海外に依存して成り立っているため、世界の水不足や食料不足の影響は輸入大国である日本にも響いてくる可能性があるということです。
※水不足については以下の記事で詳しく書いているので、ぜひ参考にしてください。
※食料自給率については以下の記事で詳しく書いています。
バーチャルウォーターの計算方法
バーチャルウォーターを計算するには、バーチャルウォーター基準値(VW基準値)を調べる必要がありますが、環境省の「virtual water」にアクセスすると「バーチャルウォーター量一覧表」や「バーチャルウォーター量自動計算」があるので簡単に計算することができます。
以下が、バーチャルウォーターを求める計算式です。
VW基準値(㎥/t)×使用量(t)×1,000(l/㎥)=バーチャルウォーターの量(l)
食料1トンあたり何㎥の体積の水を消費しているかを表しています。
いくつか例を紹介します。
【ハンバーガーの場合】
ハンバーガー1つでペットボトル2.000本分のバーチャルウォーター量になります。
特に、牛肉などの肉類は育てるために大量の水や飼料を使用するのでバーチャルウォーター量が多くなります。
【生姜焼き定食の場合】
生姜焼き定食では、ペットボトル2.542本分のバーチャルウォーター量になります。
バーチャルウォーター量は、豚肉が一番多く、その次にごはん、みそ汁が多いです。
【オレンジジュースの場合】
オレンジジュース1杯でも、ペットボトル340本分のバーチャルウォーター量になります。
オレンジを育てるのにも大量の水が必要なことがわかりますね。
私たちにできる取り組み
私たちにできることを2つ紹介します。
- お肉を食べる回数を減らしてみる
- なるべく国内品を買う
以上の2つが私たちにできる取り組みです。
詳しくお話してきます。
1.お肉を食べる回数を減らしてみる
お肉は、他の食品に比べてバーチャルウォーター量が多い食品です。
他にも畜産業は、世界の食料不足の原因や地球温暖化の原因の1つでもあると言われており、世界的にもお肉の消費を減らす動きが高まっています。
例えば、世界でもトップクラスにお肉を消費しているアメリカでは、バーガーキングなどの大手飲食チェーン店が代替肉を使ったメニューを発表するなど、代替肉の市場規模も年々増加しています。
また、海外だけでなく日本でもヴィーガン(完全菜食主義)のレストランが増えたり、大豆ミートなどの代替肉がスーパーに並ぶようになりました。
お肉の代わりに代替肉を使った食品を選ぶことで、バーチャルウォーター量も減らすことができます。
※畜産やヴィーガンに関しては以下の記事に書いているので、ぜひ参考にしてください。
2.なるべく国内品を買う
国内で生産されたものを選ぶことでバーチャルウォーター量を減らすことができます。
国内で生産されたもの、つまり「地産地消を心がける」ことで、バーチャルウォーター量だけでなく輸送にかかる環境負荷も減らすことができます。
しかし、国内で栽培できない食品もあるため、すべてを国内品で賄うことは難しいです。
そのため、できる限りの範囲内で地元で作られたものや国内で作られたものを選ぶのがおすすめです。
※地産地消については以下の記事で書いているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
バーチャルウォーターについてお話しました。
バーチャルウォーターとは、目に見えないけれども海外から輸入している水のことです。
そのため、世界で起こっている水不足問題は私たちにも関係があり、私たちの暮らしにも影響してくる恐れがあります。
できることから少しずつ行っていきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参照
※1 環境省「virtual water」(https://www.env.go.jp/water/virtual_water/)
※2 「世界の水資源と農業用水を巡る課題の解決に向けて」(https://www.maff.go.jp/j/nousin/keityo/mizu_sigen/pdf/panf02_j.pdf)
※3 wateraid「水の格差-2018年世界の水の状況-」(https://www.wateraid.org/jp/sites/g/files/jkxoof266/files/2018-03/WA%20World%20Water%20Day2018JS.pdf)